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「白良浜の保全策を」

 白浜 湯崎漁港整備事業

  住民団体、町に要望書

  白浜漁協は早期事業化求める

 白浜町が進めている湯崎漁港整備事業に対し町内の住民団体が二十四日、計画の再検討と漁港に隣接する白良浜の保全対策の早期実施を求める要望書を町に、請願書を町議会に、それぞれ1200人以上の署名を沿えて提出した。町が実施した「白良浜への影響はない」との調査結果を疑問視している。事業の進め方については町内の堅田漁協も公開質問状を出している。これに対し、漁港の地元となる白浜漁協は同日、計画の早期事業化を求める要望書を町と議会に提出した。
白良浜の保全対策を訴えたのは、「白良浜の保全を願う会」(小司之彦、岩城昭輝代表)。「整備計画実施に伴う白良浜の環境破壊に危ぐを抱いた」とし、白良浜周辺の有志が中心になって急きょ発足した。

 22、23の両日に地元と町内に勤務する人にも署名を求め、議会には1364人の署名を、町長には1270人の署名を添えた。2種類の署名簿を廻したがどちらか一方に署名漏れが生じ、人数が異なったと言う。

 内容は「2年余りの準備とその後の予想外の気象・海象変化による事業計画の軌道修正にもかかわらず、当初の目標に至っていない」と1984年度に始まった白良浜養浜事業の成果を例に上げ、「自然相手の事業には周到な環境影響調査と投資対効果などの検討を重ねてほしい」と計画の再検討などを求めている。
岩城代表は「1000人を目標にしたが、予想以上に集まり驚いた。素人考えでも白良浜に影響はあると思う。署名活動で住民の関心の高さが分かった。養浜事業と今回の整備計画とで調査機関が異なっているのも整合性の面で不安だ」と話した。
同町では6月に発足した「湯崎漁港整備計画を考える会」(鈴木喜徳郎、菊原節太郎代表)が、今の整備計画に反対を表明している。各分野の専門家と町民を含めた第三者機関を作り、疑問点を消しながら環境影響調査をやり直し、その上で湯崎地区の事業を計画することを求めている。

 町は白良浜に影響がある場合は整備事業をしないとして9月の海流調査を実施。2002年度に実施した環境影響調査と合わせ、「想定される条件下では、漁港整備による白良浜への影響はない」とする判断を10月に明らかにした。

 これに対し「示されたのは1回の波のみのシミュレーションであり、ある一定の時間の影響の説明が抜けている」とする専門家の指摘もある。
一方、白浜漁協の榎本秀春組合長が町役場を訪れ、湯崎漁港整備事業の早期事業化を求める要望書を立谷誠一町長らに直接手渡した。内容は「02年度には白良浜に影響しない旨の調査結果が報告された」「当組合の積年の願意をくみ取ってもらいたい」などとしている。
榎本組合長は本紙に対し「組合員の8割が漁船による漁業。水揚げが減り経費高で苦境にあるだけに、早期着工と整備による活性化に期待している」と話した。
立谷町長は、共同漁業権者の了解を得て住民説明会を開き、事業化を進めたいと述べた。

参考 紀伊民報 平成18年11月26日付け