白良浜の高波、解明を

 白浜 住民有志が保全陳情

 「養浜事業と関係」指摘

 白浜町の白良浜で、浜の中央部だけ波が高くなり、遊泳禁止になるなどこれまでなかった現象が見られるようになったことから、浜周辺の住民有志が27日、原因究明を西牟婁振興局に陳情した。古谷利男建設部長は「部分的な高波の発生はどこかに問題があると思う。調査と砂浜の形成を平行して実施したい」と要望にこたえる姿勢を示した。

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 古谷利男・西牟婁振興局建設部長(左から2人目)に白良浜の写真を示す住民ら(27日、西牟婁振興局で)

 白浜町浜通り、自営業森田和夫さん(65)が呼び掛け、住民12人が田辺市の西牟婁振興局を訪れた。古谷部長や河港課長ら職員7人が応対した。

 住民によると、部分的に波が高くなったほか、波打ち際に砂利が打ち上がるなど、白良浜ではここ1、2年で大きな変化が見られるようになった。夏に3年連続して浜に来たライフセーバーは「年ごとに浜が大きく変化している」と指摘したという。

 森田さんらは「20年近く前から白良浜の養浜事業が始まったが、こんな異常は初めて」と危機感を強め、養浜事業の一環として原因を究明してほしいと要請した。

陳情では、遊泳禁止になった日の波や、砂利が打ち上がった写真と砂利の実物を示しながら、砂浜の様子を説明した。

 古谷部長は「造った砂浜なので波による影響を受けるのはある程度仕方ないが、ここまでの影響は想定していなかったと思う」と理解を示して「町や県にとっても大切な観光資源なので、調査と同時に砂浜の形成もしたい」と約束した。

 住民からは「浜に近い湯崎側の岩場が砂で目詰まりし、エビや貝が捕れないので、海流のほか海底も調べてほしい」との要望も出た。

 白良浜の保全に対しては、学識経験者と国、県、町で白良浜保全対策協議会を1981年度に設立。海岸環境整備事業として養浜計画(2010年度まで)がスタートした。工法の審議と実験を重ねた上で、県が89年度から2000年度まで豪州の砂計7万4570立方bを投入した。

 03年度からは県が白良浜北側の権現崎から白良浜を囲む格好で、延長150bの潜提の建設を開始した。北側の砂浜の面積を広げるためで、来年度中に完成する。
ところが、昨年ごろから浜中央部の波が高くなるのが目立ち始め、今年初めて部分的に遊泳を禁止する措置を取った。町観光課によると今夏は5回実施した。

 森田さんは「湯崎漁港整備事業の問題が、健全な白良浜の保全がいかに大切かを教えてくれた」とし、「事業に反対とか賛成とかではなく、純粋に浜の保全を考えたい。養浜事業はまだ検証されたことがない。白良浜の将来を考える上でも、住民の認識を県に伝えたかった」と述べた。

参考 紀伊民報 平成18年12月29日付け

白良浜の所々に打ち上がった砂利(12月18日、白浜町の岩城昭輝さん撮影)

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