砂が黒ずむ 白良浜海水浴場 

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 波打ち際近くの海底を20センチほど掘って出てきた黒ずんだ砂

 白良浜海水浴場(白浜町)の波打ち際近くの海底の砂が広範囲に渡り、黒ずんだり灰色がかったりしていることが、住民の指摘で分かった。表面上は白砂に覆われて分からないが干潮時に波打ち際から1メートルほどの所を、スコップや手で掘ったりすくったりするだけで出てきた。原因は分かっていない。町によると、黒ずんだ砂はもともと海水浴場の沖合にあったという。しかし、波打ち際で見られるようになったことに住民らはショックを隠せず「観光に影響しないか」と心配している。県も7日、調査を始めた。

 浜の近くに住む鈴木博之さん(71)らが5日、これまで見られなかった場所に海草が生えていると勘違いし、確かめようと海中の砂をすくって気がついた。県と町に連絡し、職員らと一緒に浜の南端から北端まで順に砂を掘って確認した。

 掘ったのは干潮時で、波打ち際から1〜3メートル沖、水深30〜80センチの所。浜の北側の権現崎や南側のT型突堤付近の砂の変色がひどく、特にT型突堤内側の砂が堆積(たいせき)して遠浅になったところは、白砂の数センチ下から黒ずんだ砂が見つかった。浜の中央部でも20センチほど掘ると灰色がかった砂が出てきた。
 鈴木さんは「毎年夏から秋にかけて海水浴場で頻繁に水泳やダイビングをする。突堤付近の透明度が悪くなったと感じていたが、砂がこんなになっていたとは思いもしなかった」と驚いた。
 町によると、白良浜沖の深い所は、以前から白い砂の下に黒い砂が堆積していたという。1981年度に白良浜の養浜事業が始まり、89年度から2000年度まで、オーストラリアの白砂7万4570立方メートルの大部分が海中に投入された。
 オーストラリアの砂が軽いため、波の力で陸部に押し上げられ、黒ずんだ部分が露出してきたのでは、という見方も出ている。T型突堤の下には温泉などの排水管があり、そこから排水が漏れて影響しているのではないかという意見もあるが、原因は不明だ。
 県は7日に砂を採取し、本庁の環境管理課水質保全班に調査を依頼。同班の初見では、自然界の硫黄が酸欠状態の中で硫化水素を発生。それが土中の鉄分と反応して黒い硫化鉄となり、砂粒に付着した可能性があるという。
 西牟婁振興局河港課は「砂と同時に事実関係も調べ、今後の対策に生かしたい」と話している。「白良浜で何が起きているか原因を突き止め、抜本的な対策を講じないと白砂が売りの白良浜が灰色の浜になってしまう可能性もある」とする専門家の声もある。
 白良浜では中央部の波が際立って高くなり、町が3年ほど前から夏に部分的に遊泳禁止措置を取るケースが出てきた。昨秋には貝殻交じりの砂利が浜に打ち上がった。
 住民有志らが「これまで見られなかった現象」と危機感を強め、昨年末に県に原因究明と養浜事業の検証を求めて陳情した。今春から県と住民有志らが定期的に情報交換をしている。

参照 2007年6月9日付け 紀伊民報

 参考 2007年6月5日 記録映像よりリンク

     2007年6月6日 記録映像よりリンク