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 白良浜保全構想

 「白砂」「青松」永久保存へ砂浜を広げ、右図のように防波堤で「白良浜」を守る

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 白良浜 保全構想まとまる

  現在の砂浜を2倍に

  防波堤の先に人工島

 「和歌山」白砂青松、浜木綿(はまゆう)が群生し「最も日本的な海岸美」に恵まれている、といわれながら、やせ細る一方の白良浜復元へ、同海岸保全対策協議会(会長・岩垣雄一京大教授)は@防波堤沖出しなとによる波浪カットA前浜拡張B背後地公園化C下水移設ーを骨子とした白良浜保全構想を七日、まとめた。今後、模型実験を行いながら具体的な対策を進めていくが、なにしろ大自然が相手だけに相当な時間がかかりそうだ。

 県実験で少しずつ復元

 白良浜長さ約五百b、幅50b、石英質のまっ白い砂浜、背後地には緑豊かな松林や浜木綿の群生に恵まれた海岸で、四季を通じ年間約七十万人の観光客が繰り込む泉都のシンボル。

 ところが最近、背後地の開発、沖への流砂現象で、浜が少しずつやせ細り始めた。四十八年には町が六千立方bの白砂を補給したものの、いぜん「浜やせ」の状態が続き美観、防災面から根本的な保全対策が必要といわれていた。
 このため昨年二月、白良浜海岸保全対策協が発足。メンバーは京大、和大の地質学、海岸工学の教授らと国、県、白浜町の土木担当幹部。これまで三回にわたって協議会を開き、七日保全対策発表にこぎつけた。

 それによると、海岸工学的調査の結果、白良浜は、自然が長い年月をかけてつくり上げた「比較的安定した海岸」だが、台風や季節風など短期間、強く発生する外力のため安定が乱れ、両端から浜の砂が流出、少しずつ侵食されている、ということがわかった。

 同調査に基づき協議会が集約した保全構想は、白良浜の北端、権現崎から湯埼にかけ長さ三百b、幅五bの防波堤を沖出し、先端に人工島をつくり、季節波浪をカット、台風を緩和、南端の崎の湯からも長さ百メートル、幅五bの防波堤と人工島をつくり、波浪を防ぐ。外洋からの波浪がひき起こす反射波は、権現崎付近の直立護岸を緩傾斜護岸にに改良することで防げるとしている。

 また、砂浜は、長さ(みぎわ線)を三百b延ばし八百b、幅を三十b〜五十bひろげ八十〜百bにし、利用可能面積を現在の二倍にする計画、約五万二千平方bにする計画。このほか背後地に遊歩道を設けるなど公園整備、水質保全へ下水道移設、などの対策を講じるとしている。

 この「白良浜そ生術」に必要な事業費は最大約四十億円の見込み。県は五十六年度、測量調査や白砂六千二百立方bを補給したが今年度、根源崎の直立護岸を緩傾斜護岸に改良、防波堤の模型実験なども始める。同問題担当の県土木部・田伏功参事(河口課課長)は「白良浜の復元には相当時間がかかると思う。同構想に基づき、このため、毎年度少しずつ、砂浜を拡張したり模型実験の結果を見つつ防波堤を建設して行きたい」と話している。                                                                                       参照 昭和57年5月8日 紀伊民報