捨石を設置する権現崎側の海岸、左が問題の直立護岸、後方は白良浜。

 白良浜を守る 先ず捨石 権現崎の直立護岸に

 白砂青松で知られる白浜温泉(西牟婁郡白浜町)のシンボル白良浜が、白砂の流出でやせ細り続けており、県は今年度から約十年かかりで四十億円を投入、大規模な海岸保全事業に乗り出す計画だが、その手始めとして、近く 権現崎側の直立護岸延長百八十メートルに、外洋からの反射波を防ぐため二千立方bの捨て石を設置する工事にかかる。

 同海岸保全対策協議会(会長・岩垣雄一京大教授)が一年がかりでまとめた保全構想の一環で、工費は一千七百万円。延長百八十メートルの海岸のうち沖合側の八十メートルには国の天然記念物、「白浜泥岩岩脈」があるため、白浜町を通じ文化庁に許可申請を出しており、近く許可が下りる見通し。
 権現崎附近の海岸沿いには遊歩道の下にコンクリート造りの排水溝が直角形設けられているため、直立護岸になっており、外洋からの波浪がひき起こす反射波によって白砂が流出している ことが、同協議会の調査でわかった。直立護岸を緩傾斜護岸に改良する計画で、とりあえず暫定的に捨て石を設置、反射波の直撃を防止しょうというもの。

 県では、延長百八十メートルのうち浜辺側の百メートルから工事を始め、文化庁の許可が下りしだい、残りの泥岩岩脈になっている部分も行う段取りで、設置する石(一トン〜0.二とん級)の手配など準備を進めている。計画では、直立護岸を側面から見ると護岸に高さ一.八メートル、海底側に幅五.五メートルにわたって三角形状に捨て石を設置、満潮時にちょうど石が海面に隠れるよう配慮している。なお、使用する捨て石は尾鷲産の白っぽい石で、護岸用には田辺市の新文里港にも使われている。

(紀伊民報 昭和57年12月14日)