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 アオノリの繁殖で色がかわって見える白良浜海水浴場。早朝からの清掃作業で大半を取り除いた(二十五日午後三時ころ、白良浜海水浴場北側から臨む)

海水浴に支障なし

 白浜町 清掃倍増で応急処置

 二十二日朝、白浜町・白良浜海水浴場でアオノリの一種が大量に浮遊しているのが見つかり、以後海水浴場一帯に広がってきたことから、白浜町はその対応に苦慮しているが、二十六日早朝からは清掃員を倍増し、浜辺付近の海藻をほぼ除去。午後からは沖の方を網で取り囲む応急処置を行った。また、同町はアオノリの学名を特定する作業を進める一方、今後の対応も含め抜本的な対策を急いでいる。

 県増試で原因究明、抜本策急ぐ

 藻は発見された後も増えて海水浴場一帯に広がり、特に北側の権現崎付近は藻で海水の色が変わって見えるほど。このため清掃員六、七人が出て藻の辞去をしていたが、二十六日からは清掃員を倍増。午前五時から大々的に作業を行い、海水浴客で混雑する午前九時ごろまでに泳ぐ範囲の辞去を終えた。同町では当面、毎日この作業を行うことにしている。

 また、二十六日午後からは海水浴場の沖一帯に網を張り、外からの漂着を防ぐ。
 繁殖している藻はアオノリの一種にほぼ間違いないことは、県増殖試験場や海藻類に詳しい関係者の調べでわかった。しかし、なぜ白良浜に大量発生するようになったかは不明。元京都大学臨海実験所講師で南紀生物同好会代表の山本虎夫氏によると「アオノリは専門書に二十種類ほど掲載されてはいるものの、仲間は数多く、また、種類によって生活条件も異なるため、抜本的な対策をとるにはまず正体をはっきりさせることが先決」と指摘。

 同町では二十六日、藻を県増殖試験場に持ち込み組織調査をして学名の特定を急いでいる。学名が分かった上で対策を考える方針。

 藻は当初アオサの仲間とみられた。河口付近で発生したのがここ数日来の雨で白良浜に流れてきたのではと考えられたが、流れついた胞子が岩や砂に付き繁殖した可能性が強い、と関係者は見ている。繁殖した藻を辞去するだけでは今後また同じような事態にならないとも限らず、抜本的な対策が求められる。

 アオノリはアオサ目アオサ科アオノリ属。仲間は数十種にのぼり、専門家でも学名の特定は難しいという。気水域で繁殖するもの、塩分の濃い所でも繁殖するもの、汚染に弱いもの、強いものと様々。通常食用にしているのはスジアオノリなど二、三種類。白良浜に繁殖しているのは四双島などにも見られ、黄緑がかり食用に比べ色がうすく細い。枝わかれが多く光沢のあるのが特徴。

参照 昭和63年7月27日 日刊紀州新報